グレート・ギャツビー


アメリカ小説の巨匠スコット・フィッツジェラルドの言わずと知れた名作ですが、村上春樹さん訳のものを読了しました。
私は裕福な暮らしを送る生粋のお嬢様、デイジーが大好きになりました。
経済的な苦労を知ることなく、生まれついた時からおそらく死ぬまで富裕層として生きていける彼女が、一人娘を産んだ時を回想して「女はかわいいおバカさんになるのが一番だ」という趣旨の発言をします。
自分と同じように華やかな社交界で確固たる地位を手に入れて暮らしていくようにという期待を込めているのか、このハイクラスの社会層においても女性はそれでしか生活をする術がないという絶望を拾った言葉なのか、デイジーという傍から見れば恵まれた女性の心の内を考えさせられる場面です。
もう1つ印象的だったのはストーリーの本筋でもありますが、ギャツビーがそんなデイジーと失われた過去までも取り戻そうと必死でいることです。語り手であるニックが過去をやり直すことは不可能だと言ったのに対して、「もちろん可能だよ」と答えた彼の言葉に、デイジーそのものだけではなく、失われた二人の過去への執着が凝縮されていると感じました。
愚かでも人を愛し抜き、なりふり構わず全てを捧げられる純真な心こそが「グレート」ギャツビーなのだと思います。