『きもの』明治からの贈り物


幸田文著。最近きものにはまって、きものに関係する本なら何でも読みたい、という中で手に取った作品のひとつです。
幸田文は幸田露伴の娘、明治生まれの女性です。
大正期の女の半生をきものに寄せて描いた『自伝的作品』だそうです。
幼い時からきものの着心地にこだわる三女のるつ子。
効かん気が強く頑固で可愛げのないところから母親にもあまり気にかけてもらえていないが、賢い祖母には可愛がれ、彼女に教えられながら、たしなみや人づき合いの心得など暮らしの中のきまりごとをきものを通して学び、成長してゆきます。
関東大震災の後、裕福な家庭に嫁いだおっとり長女と夫とともに店の切り盛りをする次女と、実際優しくはあるのですが、見舞いに来るそれぞれの着てくるもの、持ってくるもの、そういう中に各人の、本人すらも意識していない本性が現れます。
当人たちは善意なのですから、いいとか悪いとかではなく、それがその人の本質であるわけで…そういう内面は年を重ねれば重ねるほど外に現れてきます。
私もこの主人公るつ子と一緒にこの知恵者の祖母の助言を聞いていました。
きものに関する見識は唸るほどでメモ書きしといた方がいいかも、と思ってしまいました。
また時に冷や汗が。
「やっちゃてるよね、こんなこと、私」と、いい年こいて反省することしきり。
今時こういうキリッとしたカッコイイご隠居さんはいるのかしら?「昔は結構いたんだろうな」と羨ましく、憧れの『お祖母様』でありました。
昔はいい女がたくさんいました。